高麗人参の漢方としての役割

高麗人参は西洋医学が発達する以前から不良長寿の薬として健康を維持するために用いられてきました。
自生しているものはなかなか入手できないため、栽培してまで人々はその薬効に期待したのです。
高麗人参は漢方の歴史の中でもその中心にあったと言ってもいいでしょう。
ここでは高麗人参の漢方薬としての役割や効能についてまとめてみました。

まず、漢方医学と西洋医学の違いについて考えてみます。
西洋医学における薬とは発症した病気の原因を治療する目的で処方されます。
ですから同じ病名で同じ症状の人なら処方される薬は同じものになります。
しかし、漢方医学においてはその人の体質や状態に応じて処方されますので、人それぞれに処方される漢方薬の内容は異なるのです。
漢方薬の考え方は、病を発症するのはからだのバランスが崩れているからだと判断し、それぞれの人のバランスを整えることが目的となるのです。

漢方におけるバランスとは、気・血・水のバランスのことを言います。
気とはエネルギーとか熱のことを言い、血液によって全身をめぐることになります。
気が異常を起こすと、不眠や疲労感がありイライラがつのったり不安になったりします。
血は血液のことで全身に必要な栄養分やエネルギーを運ぶ役割があります。
血に異常があるとめまいや動悸、視力減退や口乾燥などが起こります。
水は人間の体内にある水分のことを言い、これが異常をきたすとめまいや息切れ、むくみなどの原因となります。
漢方薬では直接これらのバランスが悪いことによる症状を治療するのではなく、バランスを調整してもとの元気な体に戻すことになります。

高麗人参の根っこにある主な有効成分であるジンセノイドが身体のバランスを調整する役割を果たすことになります。
このジンセノイドは高麗人参が持つ他の有効成分と相乗効果を発揮し、複雑な働きをします。
以前は高麗人参による血圧を高める効果のため、血圧の低い人には有効で血圧の高い人は服用してはいけないと言われていましたが、最近では高麗人参によって血圧が下がる効果も報告されています。
これは高麗人参が直接血圧をコントロールするものではなく、その人の身体のバランスを整えた結果、血圧の高い人は下がり、低い人は上がるという結果になったものと思われます。
このように、高麗人参は漢方医学の考え方である調整するという機能を持っているのです。

高麗人参はそれ単体でも効果はありますが、他の漢方薬との効能を促進する補薬としても働きます。
そして西洋医学で言うところの医薬品のように即効性はなく、長期間にわたって継続的に服用することで徐々に身体を調整していくのです。
病気の症状を治療するのではなく、その症状を発症した原因となる気・血・水のバランスを整えてもとの元気な体に戻すという効果からも高麗人参は漢方医学の役割を担っていると言えます。